SNS利用の基礎知識(医療機関様向け)

クリニック・薬局様のSNS利用について、メリットと注意点をまとめました。
結論から知りたい方は【こちら】をご覧ください。

※SNSに広告を出すのではなく、SNSとして利用する場合のお話です。SNSにお金を払って広告を出す「広告出稿」については【こちら】をご覧ください。

メリット

集患目的

SNS上で、医療機関が多くの人とつながることで、来院患者数を増やせるかもしれません。
また、その医療機関のブランド価値の向上やイメージアップをはかれる可能性があります。

ホームページとの違いとしては

  • SNSは「人と人」のつながり感があって、親密感を与えやすい。
  • SNSはコミュニケーションが継続的になる。

という点があげられるでしょう。

ただ実際は、SNS経由のつながりは全国に拡散してしまうので、SNS上の知り合いが実際に来院する可能性は低いかもしれません。その点、地域を絞った広告の方が直接的で、集患への費用対効果は高いかもしれません。(SNSの運営にも人件費がかかると考えた場合。)

告知目的

SNSはお知らせするのがラクです。例えば、突然の休診や、予防接種のご案内など、ドクターやスタッフがスマホでカンタンに告知することが出来ます。
ホームページだと、外注の場合は業者さんにお願いしたり、設定によってはパソコンを立ち上げる手間がかかります。

ただし、SNS上の告知はもともとSNS上でつながりのある人に伝えるだけなので、告知できる範囲が狭いです。院内外の掲示やホームページなど、他の手段も併用する必要があるでしょう。

どう使うべきか

医療機関による模範的なSNSの使い方としては、以下のようなことが王道です。

  1. 毎日SNSに、患者さんにとって有意義な投稿をする。
  2. 公式HPに上記のような記事を書いて、SNSではその告知や拡散を行う。

投稿内容が患者さんにとって有意義であればあるほど、またひんぱんに投稿するほど、SNS上のつながりが増えて「見込み」患者さんを増やすことにつながります。
上手に使えば、ソーシャルネットワーク上で揺るぎない地位を築けるかも知れません。

課題

続けるのは大変

通常、SNSへの投稿はドクターかスタッフが行うことになりますが、投稿の頻度が低かったり、投稿の中身が無いというのは良くありません。しばらく投稿がなく、SNSを放置している様子をさらすのは逆効果ですし、簡単にできる日常的な投稿、例えば「花が咲きました」のような投稿をしても、その医療機関のファン増加にはつながりにくいでしょう。

炎上のリスク

Twitter ではよくありますが、不用意な発言をしてしまい、見ず知らずの人達から集中砲火を浴びる「炎上」ということが起こる場合があります。ですのでSNS運営担当者には、ある程度の一般常識と、インターネットリテラシーが求められます。

SNSの選択肢と特徴

実際にSNSを使うには、どのような選択肢があるでしょうか。
国内でよく使われているSNSは下記のとおりです。

おすすめ度 拡散力 利用率
LINE ★★(中) ★(弱) 82.3%
Twitter ★★(中) ★★★(強) 37.3%
Instagram ★(低) ★★★(強) 35.5%
Facebook ★(低) ★★(中) 32.8%

【参考】「平成30年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」 | 総務省

LINE(ライン)

国内利用率トップのテキストチャット。利用画面は1対1の対話形式の見た目ですが、医療機関からたくさんの患者さんに広くメッセージを送ることもできます。
スマホアプリによるプライバシーを軽視したアドレス帳利用などにより、嫌っている人もいるようです。

基礎データ

おすすめ度 ★★(マンパワーに余裕があれば)
拡散力 ★(弱い)
国内利用率 82.3%
利用料 月額:無料/5,000円~/15,000円~
公式サイト LINE公式アカウント

※「LINE公式アカウント」というのは、ビジネス向けのLINEアカウントです。

使い方の例

  • メッセージ一斉配信で、予防接種のお知らせや、季節ごとの告知。
  • 1対1のトークで、診療予約などの受付。

院内の告知ポスターや、窓口の声がけにより友達登録を促進できるので、再来医院のリピート率を上げるのに使いやすいでしょう。
医院のウェブサイトに友達登録の窓口を設置して、新患の方に利用してもらう手もあります。
診療予約など、患者さんにメリットがある形で運用できれば、利用者が増やせる可能性があります。

注意

LINEなどテキストチャットの世界ではまれに、極端に早い返信を求める方がいらっしゃるようです。
数分以内に返信しないとクレームしてくる方もいるようなので、ご注意ください。

また、ビデオ通話機能を医療相談・遠隔診療などに使うことも考えられますが、医療法など関連ルールには十分ご注意ください。

Twitter(ツイッター)

匿名による13歳以上のSNS。拡散するには強力ですが、ユーザー同士のいざこざや炎上が発生しがちなので、ご注意ください。

基礎データ

おすすめ度 ★★(一長一短)
拡散力 ★★★(強い)
国内利用率 37.3%(10代・20代で特に高い)
利用料 無料
公式サイト Twitter

使いみちの例

  • 予防接種のお知らせや、季節ごとの告知。
  • 健康豆知識など、医療知識の啓蒙。
  • 医療機関の公式サイトへの誘導。

拡散力

ユーザー同士でフォローし合う文化があるので、ファン(フォロワー)を増やしやすく、情報を広く拡散するのが得意です。
日本でフォロワーをたくさん持っているのは、有吉弘行(約720万人)、松本人志(約700万人)など(2020年3月現在)。1万人以上のフォロワーを持つドクターもいらっしゃいます。

ご注意

まれに思いもよらない理由から、クレーマー・モンスター的な方にからまれて「炎上」することがあります。
運用するドクター・スタッフに、ある程度のTwitterスキルがあった方が安全です。

Instagram(インスタグラム)

匿名で画像を共有するSNS。若い方の利用度は圧倒的ですが、医療機関にはあまり向いていません。レストランやお店が商品・内装をアピールする用でしょうか。運営会社はFacebookです。

基礎データ

おすすめ度 ★(低い)
拡散力 ★★★(強い)
国内利用率 35.5%(10代・20代で特に高い)
利用料 無料
公式サイト Instagram

使いみちの例

  • 医療機関の設備・内装・飾りつけなどのPR。
  • 医療機関の取り組みのPR。

拡散力

知らない相手をどんどんフォローする文化があるので、拡散力は強いです。
日本でフォロワー数が多いのは、渡辺直美(約900万人)、Tasty Japan(約650万人、料理動画)、など(2020年3月現在)。
お金を払って、広く広告を出すことも出来ます。

ご注意

「インスタ映え」しつつ、来院につながるような内容を、頻繁に投稿するのは難しいでしょう。

Facebook(フェイスブック)

実名による13歳以上のSNS。運営会社による個人情報の利用や、CEOの言動について、よく問題になります。

基礎データ

おすすめ度 ★(低い)
拡散力 ★★(人による)
国内利用率 32.8%(20代・30代で高い)
利用料 無料
公式サイト Facebook

使いみちの例

  • 予防接種のお知らせや、季節ごとの告知。
  • 健康豆知識など、医療知識の啓蒙。

拡散力

拡散ルートが知り合いベースになるので、患者さんへの拡散力は弱いです。友達の上限は5,000人となっています。
投稿内容によっては爆発的に拡散する場合もありますが、可能性は低いでしょう。
ただしお金を払うことで、友達以外にも広く広告を出すことが出来ます。

公式サイトとしては使わないほうが良い

医療機関の公式サイトとしてFacebookだけを利用されているケースもありますが、患者さんから見て不便なので、別途公式サイトを作るべきでしょう。

不便な点としては、

  • 診療時間・アクセスなどの必須情報を、見やすく表示しにくい。
  • 患者さんが知りたい内容を探しにくい。
  • 良いURLを取るのに手間がかかるので、しばらくの間、無意味な文字の羅列のアドレスを使う必要がある。

などがあげられます。

まとめ

SNSを外注するのはイメージが悪いので、SNSの運用はドクターないしスタッフが行うべきですが、毎日続けるにはマンパワーがかかります。その割に、集患につながるかはよくわからない、というのが現状です。

SNSでできることの多くは、公式サイトで肩代わりできます。公式サイトであれば、余計なことを書かなければ炎上の心配もありません。どうしても気になるSNSがあれば、「余力」で運用されると良いでしょう。ただし放置するのは印象が悪いですから、ちょっと試して効果がない/続けられそうもなければ、アカウントは早めに削除すべきです。

公式サイトは必須

どのSNSを使うにしても、医療機関の公式ウェブサイトは必要になります。(SNSを使わないとしても、今どきの医療機関なら必須と言えるでしょう。)
公式サイトは1ページだけしかなくても、あれば必ず役に立つので、診療時間・電話番号・地図といった基本情報をネット上で確認できるようにしておくと、患者さんにもスタッフにもたいへん便利です。

その際、ホームページアドレス(URL)は他社にぶら下がりのものではなく、独自に持つことをおすすめします。

  • 【良い】www.sample-clinic.com
  • 【悪い】www.x-company.co.jp/sample-clinic

独自ドメインでないと、その医療機関の公式サイトではなく、よそのサービスのように見えてしまう場合があります。また、その会社がサービスを止めてしまうと、そのアドレスがなくなってしまう心配があります。

独自ドメインをとるには年間数千円のコストですみます。弊社でもドメイン料金込みのサイト作成を承っておりますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

おすすめの運用

クリニックにおすすめするのは、この運用です。

  • クリニック:公式ホームページ+α
  • ドクター:Facebook(使用中なら)

クリニックについて

クリニックの告知には様々な方法が考えられますが、公式ホームページ以外のSNSは炎上のリスクやメンテナンスの負荷が高いので、メリットを考えてもそれほどやる意味がありません。

例えば Twitter は拡散力が高いですが、炎上のリスクが高いです。また、営業時間中はSNSを常にチェックする必要があるので、作業負荷がかかります。そのわりに、Twitterでリーチする人々は潜在的な患者さんとはズレているので、効果は少ないです。

Facebook はリアルな知人にクリニックを宣伝できますが、個人のアカウントとクリニックのアカウントがごっちゃになりがちです。お友達は個人とクリニックでほぼ同じ投稿を毎回二重に見せられることになって、迷惑するかも知れません。

どんなSNSを使うにしろ、最終的な詳細情報の表示には公式ホームページになる事が多いです。また、一つの情報を発信するのに、複数のサービスで告知するのは手間がかかります。

患者さんにとってみると、公式SNSやページがいろいろあると、どこが最新なのか判断するのに手間がかかる恐れがあります。

すべての公式アカウントが適切に更新されていれば良いのですが、なかなかそうはうまくいきませんから、限られた院内のリソースは、公式ページに絞るのが良いでしょう。キチンとアップデートされている公式ホームページがあれば、患者さんには十分役に立ちます。

サイトに最新情報をのせる時は、ホームページ業者さんに連絡してやってもらうのも良いですが、クリニックでもホームページの編集権限を持っておき、小さな追加・修正であれば院内で対応できるようにしておくと大変便利です。

+αについて

世の中には、自院のホームページにひも付けられるサービスがいろいろあります。それらを利用するとサイトへの集客力を高められたり、運用の効率が上がります。また、別途SNSを運用するほどの手間はかかりません。

Google マイビジネス(おすすめ)

Google検索やGoogleマップなど、Googleのサービスに自院の情報を表示し、管理するための無料のツールです。利用することでSEO対策やローカルSEOに効果が期待できます。業者を使わずに、自分で登録することが可能です。

最近は「ローカルSEO」などと称して、ささいな作業や効果の疑わしい施策を行って法外な料金をとる業者もあるようです。下記のような記事を一度お読みになって、そういう被害に遭わないようお気をつけください。

【参考】ローカルSEO超入門#1 Googleマイビジネスの基本と8つの順位決定要因 | Web担当者Forum

Google アナリティクス

ホームページの利用状況を分析するツールです。ホームページが何人に見られているかを知ることで、ウェブ関連のコストを最適化する助けになります。

Googleアカウントをお持ちであれば、ここからログインできます。
概要についてはこちらのページになります。(サービスが多すぎてわかりにくいですが……)

Google ウェブマスター

Google検索における、自分のサイトの掲載順位などを知ることができます。

Google 広告

新規開業の時など、サイトへの流入を増やすために使用しても良いかも知れません。ただしそれなりにお金がかかります。(1日に数千円~数万円。自分で使う費用を決めます。)

ドクター個人について

開業するドクターなら、おそらくFacebookはお使いでしょう。クリニックの宣伝にも役立てることができます。ただしFacebookにクリニックのアカウントも作ってしまうと、「この件はどっちのアカウントで書けばいいんだろう?」と悩むことになりますので、Facebookはドクター専用という運用がわかりやすいでしょう。

もしまだFacebookをお使いでない場合は、Facebookは必要ないかもしれません。開業のためにわざわざ使い始めるのであれば、プライベートでの負担が大きいですし、開業までにお友達を増やすのが間に合わないかも知れません。

お問合せはお気軽にどうぞ

中央ビジコム HP担当