レセプトコンピューターをご検討中のクリニック様向け、レセコン選びの基礎知識です。大まかな業界概観としてどうぞ。(電子カルテ選びの基礎知識はこちら)
レセコンとは?
クリニックが「レセプト」を作ったり、「レセプト請求」を行うためのコンピューターで、「レセプトコンピューター」の略です。たいていクリニックの受付に置いてありますね。
ドクターが操作することはほとんどないので無頓着な方もいらっしゃるようですが、クリニックの経理関係の業務をになう、たいへん重要な機材です。
レセプトとは?
クリニックが「社会保険診療報酬支払基金」や「国民健康保険団体連合会」などに請求する、明細書です。「診療報酬明細書」とも言います。
患者さんの氏名・保険者番号や、病名・診療報酬点数などを記入して、毎月の分をまとめて、翌月5日から10日に提出します(これが「レセプト請求」)。
- 【参考】突合点検・縦覧点検とは何か、対策は? | 中央ビジコム
レセプトに間違いがあるとクリニックに診療報酬が入らないので、ミスなく・抜け漏れなくレセプト請求することが大切です。昔は事務員さんにレセプトに関する専門的な知識と事務能力が必要とされていましたが、今はレセコンによる自動チェックがだいぶきくようになっています。
- 【参考】レセプトのミスを防ぐ「点検アシスト」 | 中央ビジコム
ちなみに昔のレセプト請求は、なんと【紙】しか認められていませんでした。
1999年以後、業務効率化や不正請求防止などの観点から、レセコンの使用(レセプト請求の電子化)が推進され、現在はレセコンの普及率は100%近くになっています。
- 【参考】電子レセプト請求の電子化普及状況等(平成27年4月診療分)について | 厚生労働省
レセコンの機能
レセコンで行う基本的な業務は、ざっと下記の通りです。
- 患者さんの受付
- 診療内容の記録(カルテとは別)
- 患者さんへの会計
- 処方せん発行
- レセプト作成(診療内容を1ヶ月分まとめ)
- レセプト請求
国内のレセコン普及状況
平成31年2月診療分における、診療所のレセコンの普及率は98.1%でした。(施設の1.9%が紙を使っています)
ほぼ100%のクリニックが、レセプトコンピューターを導入されています。
これから開業するクリニックには、レセコンは欠かせません。
- 【参考】レセプト請求形態別の請求状況(平成30年度) | 社会保険診療報酬支払基金
どんなレセコンがあるか?
レセコンは大きく2つに分けられます。
日本医師会が出すORCA(オルカ)と、それ以外です。
ORCA
日本医師会が医療のIT化、医療情報の標準化を進めるために開発したレセプトコンピューターが「ORCA」です。
導入をお手伝いする会社(ベンダー)はソフトウェア系の企業が多いようです。サポート体制は会社によって違うので、同じORCAを使っていても、イザという時の対応は変わってきますから注意が必要です。
- 【参考】ORCA Project | 日本医師会ORCA管理機構
ORCA以外
国内にはレセコンメーカーが数十社、レセコンソフトも同じくらいの数があります。
メーカー・導入業者(ベンダー)ともに医療事務に詳しいことが多く、サポート能力が高いでしょう。
(ORCA 以外のレセコンは、下のページだけでも20種類くらいあります。)
- 【参考】レセプトコンピュータ製品一覧 | 2010/12/24 TechTargetジャパン
レセコンメーカーは寡占状態
国内のレセコンは上位数社が全国シェアの大半を占めており、だいぶ寡占が進んだ状態になっています。(上位2社でシェアの半分以上、上位5社でシェアの3/4以上を占める。)
具体的には、日本で最初にレセコンを作ったWEMEX(当時は三洋電機)が先発優位をいかして全国シェア1位、医師会をバックにORCAがその後を追っている、という状況です。
ちなみに、クリニック向け電子カルテも同じような状況です。
レセコン選び、基本の考え方
まずは電子カルテをどうするか決めてから
新規開業クリニックの場合、レセコンの機種を選ぶより先に、ドクターが電子カルテを使うか決めた方が良いでしょう。
電子カルテを導入するのであれば、電子カルテの機種を選ぶと、自然と使えるレセコンが絞り込まれます。多くの場合、電子カルテは接続できるレセコンが限定されています。レセコンを先に決めてしまうと、ドクターが使いたい電子カルテを接続できない、ということになりかねません。
「今後ぜったい電子カルテを使わない!」というクリニックであればレセコンのことだけを考えれば良いですが、「将来的には電子カルテを使うかも」という場合は、その電子カルテを接続できるレセコンにしておく必要があります。
将来、乗り替えることもできます
一度導入してしまっても、レセコンだけであればメーカー変更はそれほど大変ではありません。普通の使い方をしている分には、患者情報などのデータ移行はスムーズに行えます。(電子カルテのメーカー変更はかなり面倒です)
私たちも時々、開業済みのクリニック様から、レセコンのメーカー変更のご相談を受けることがあります。
レセコン選びのポイント
レセコンの導入効果を確認
レセコンはただ単に会計したり、オンライン請求するだけの機械ではありません。使うシステムによっては院内業務がラクになったり、患者満足度を上げたりすることもできます。また、クリニック経営に関するサポート機能を搭載しているメーカーもあります。
以下がよくあるレセコン導入のメリットです。ご検討中の機種ではどうなっているか、チェックしてみると良いでしょう。
事務担当の方や、開業済みのドクターなどにヒアリングすると、どんな機能が便利か、よく分かるでしょう。業担当社にもどうぞお気軽にお尋ねください。診療科やエリアに合わせて、オススメのシステムをご提案いたします。
ちなみに弊社の場合、レセコンに関するお問い合わせとしては、レセプトの自動チェック機能「点検アシスト」についてが一番多く、オプションに関しては「保険証読み取りスキャナー」についてのお問い合わせが多いです。
サポート体制を確認
サポート体制については、少し聞いただけでは販売店ごとの違いがわかりにくいかもしれません。
レセコンの価格
私どもが販売しているレセコンですと、一式でだいたい200万~300万円くらいです。(ソフト・ハードもろもろ一式全て含めて)
これはパソコン2台~3台の場合ですが、パソコンの台数やオプション内容によって金額がずいぶん変わりますので、ご要望に応じてお見積させていただいております。
ぜひお気軽にお問合せください。
レセコン導入の参考に
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